新聞に投稿した文書を読んだ人から「家に理紀之助の書があるので理紀之助の研究をしているのなら見てください」というお電話があった。
石川理紀之助の研究をしている訳ではないが、見せていただいたのは襖に張られた理紀之助が書いた和歌だった。
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秋田県立図書館デジタルアーカイブに石川理紀之助百歌集がある。それをインターネットで読むことが出来る。そこにもこの襖にある4首の和歌が掲載されている。ウィキペディアの石川理紀之助の項と比較しながら、読み方を比べてみる。

右の襖から順に
理紀之助1
登く起てわら打つ槌のおと聞けば琴のねよりも楽しかりけり 貞直
疾く起きて わら打つ槌の 音(おと)聞けば 琴の音(ね)よりも 楽しかりけり
 <とく(疾く)は早くの意>
石川理紀之助百歌集では097番の歌。先輩に読んでもらったら、県立図書館にある百歌集とは別の字体で書いているので判らなかった。「登」という文字を長ーく書いてあるのだそうだ。

理紀之助2
田をつくる家のをしへは鋤鍬をみづからとるの外なかりけり 貞直
田を作る 家の教えは 鋤鍬を 自ら取るの 外なかりけり
 ※長男民之助を失い、父と母を失った時期の感慨を表現したものか?
石川理紀之助百歌集では075番の歌

理紀之助3
みちぬればかくるならひを月かげのうへにのみとや人のみるらむ  貞直
満ちぬれば 欠くる習ひを 月影の 上にのみとや 人の見るらむ
石川理紀之助百歌集では006番の歌

理紀之助4
こがねのみ国のたからとおもうこそくだりたるよのしるしなりけれ  貞直
黄金(こがね)のみ 国の宝と 思ふこそ 下りたる世の しるしなりけれ
石川理紀之助百歌集では034番の歌。